「時事雑感、草莽危言」2011-02-02
我がボケ頭は二十代後半から四十代初めの約十五年間、鉄鋼関係の商売に携わっていたせいか、今回の合併記事を懐かしく、苦い思いも込めて読んだ。
其の時代には八幡製鉄と富士製鉄が合併して国内最大で世界一の大企業が誕生したことを思い出す。
その新日鉄が41年後に更に合併に向かうとは創造も出来なかったことであり、世界情勢の変化に我がボケ頭もただただ驚くばかりである。
2009年の粗鋼生産高では報道資料によると、世界ランキングで新日鉄は6位であり住金は23位であるが、増産の為2010年度に新日鉄住金の合併会社は二位に浮上するそうである。
それでもインド系資本の一位アルセロール・ミタルは倍近い生産量である。
国別生産量では一位がインド系企業、二位が中国系、三位が我が日本であり、中国系鉄鋼メイカーは新日鉄が技術、資本支援して創った製鉄メイカーである。
地理的にも直接的に最大のライバル企業は中国企業と言うのも正に歴史の皮肉であり、多分当時の新日鉄経営陣も予想していなかった結果だろう。
この合併話は確か2005年頃に住金から積極的に持ちかけられたように記憶しているが、交渉過程で世界的に鉄鋼需要が増大し、住金の業績が回復して取りやめたように我がボケ頭は記憶している。
合併の代わりに株式の持合で凌いだのではないかと思う。
程なく当時の川鉄と日本鋼管が合併してJFEスティールが誕生し、結果的に好結果を残したことも刺激になったのではなかろうか。
バブル崩壊後に金融再編成で都市銀行が財閥の垣根を越えて三グループに集約され、その後各分野にも合併、再編成の波は押し寄せ現在もなお激しく展開しそうな情況である。
あらゆる分野、業界で再編合併が進むのは、日本経済や国力強化に貢献するかも知れないが、大企業化の推進は反面、中小企業の弱体化を推進することにはならないのだろうか。
そうでなくても中小企業は苦境の中から這い上がれなくて悪戦苦闘を強いられているのに、ますます厳しい経営環境に置き去りにされるのではなかろうか。
大企業は自力で生存競争に勝ち残りを掛けて全力投球するのは投資家に対する義務であり責任であるが、中小企業が生き残るのは至難の業である。
2011年2月4日 元始求道会、マルキG 毘沙門寺岡
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